2026年3月、日本政府は「第5次 観光立国推進基本計画」を閣議決定しました。本計画は、観光庁を中心に策定されたものであり、2026年度から2030年度までの5年間における我が国の観光政策の基本方針を示すものです。

本計画では、訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円といった数値目標が掲げられています。また、地方部における延べ宿泊者数の拡大や国際会議(MICE)の誘致強化など、観光を通じた地域経済の活性化も重要な柱として位置づけられています。

今回の計画の特徴として、従来の訪日客数の拡大に加え、「住んでよし・訪れてよし・働いてよし」という考え方のもと、観光と地域住民の生活との調和が重視されている点が挙げられます。特に、観光需要の集中に伴う混雑やマナー問題への対応として、いわゆるオーバーツーリズム対策の強化が明確に示されています。これには、観光地における受入環境の整備や需要の分散、適切な情報発信の推進などが含まれます。

また、観光産業の持続的な発展に向けては、生産性の向上や人材確保の重要性が指摘されており、宿泊業をはじめとする観光関連産業においては、付加価値の向上やデジタル技術の活用(観光DX)を通じた収益性の改善が求められています。さらに、国内観光およびアウトバウンドの促進も重要な要素とされており、国内旅行消費額の拡大や日本人の海外旅行者数の回復に向けた取り組みも盛り込まれています。

加えて、住民生活の質の確保の観点からは、正確かつ適切な情報発信の重要性が示されており、観光関連産業においても、信頼性の高い情報提供を通じて健全な産業発展に寄与することが求められています。

このように、第5次 観光立国推進基本計画は、観光を我が国の成長戦略の中核に位置づけるとともに、地域社会との調和や産業の持続可能性を重視した内容となっており、今後の観光政策の方向性を示す重要な指針となります。

当協会におきましても、本計画の趣旨および方向性を踏まえ、関係機関との連携のもと、適切な情報発信および観光価値の向上に資する取り組みを推進してまいります。