インフルエンサー活用に求められる「透明性」と「信頼性」

近年、アジア各国では、SNS上で影響力を持つKOL/KOCやインフルエンサーの社会的責任、広告表示の透明性、情報発信の信頼性に対する関心が高まっています。

ベトナムにおいても、商品・サービスのプロモーション、観光・文化発信、ライブコマースなどでKOL/KOCの影響力が拡大する一方、誤認を招く広告、虚偽情報、ステルスマーケティング、個人情報保護などの課題が指摘されています。

こうした中、ベトナムの National Cybersecurity Association(NCA/ベトナム国家サイバーセキュリティ協会)は、KOL/KOCを対象とした信用評価・格付けに関する取り組みを進めていると報じられています。

報道によれば、NCAは「影響力を持つ人の信頼性」に関するプログラムを準備しており、KOL/KOCのオンライン上の信用度を、商品・サービスの広報、広告、マーケティング活動における信頼性判断の参考基準とすることを目指しています。

また、企業、ブランド、行政機関、地方自治体などが、文化発信、貿易促進、観光プロモーションなどに関わるKOL/KOCを選定する際の参考情報として活用することも想定されています。

報道で示されている主な評価項目は、以下のような内容です。

  1. 広告・PR投稿における透明性
  2. 違法行為や虚偽情報の拡散を防ぐ発信倫理
  3. 実際のエンゲージメントや公衆からの評価
  4. ブランドや社会的価値との適合性
  5. 個人データ保護に関する法令遵守

さらに、評価は100点制で行われ、一定の条件を満たしたKOL/KOCには、12か月有効の信用証明書が発行されるとされています。

このような動きは、単にインフルエンサーを管理するというよりも、企業、行政、ブランド、消費者が安心してインフルエンサーと関わるための信頼基盤を整備するものと見ることができます。

日本においても、インフルエンサーを活用した観光PR、地域振興、商品プロモーション、多言語発信は今後さらに重要になると考えられます。一方で、広告表示の明確化、誤認を招く表現の防止、発信者の責任、個人情報保護、炎上リスクへの対応など、信頼性を担保する仕組みづくりも求められています。

JIIAでは、在日・訪日外国人インフルエンサーの健全な活動環境の整備、観光・文化・地域情報の適切な発信、企業・自治体が安心してインフルエンサーを起用できる基盤づくりを重要なテーマとしています。

ベトナムの事例は、日本におけるインフルエンサー活用のあり方を考えるうえでも示唆に富んでいます。フォロワー数や再生数だけでなく、発信の透明性、社会的責任、法令遵守、信頼性を重視する流れは、今後アジア各国にも広がっていく可能性があります。

JIIAとしても、海外の先行事例を参考にしながら、インフルエンサーの信頼性向上、広告・PR活動の透明性確保、観光・地域プロモーションにおける健全な発信環境づくりに取り組んでまいります。

【参考情報】

National Cybersecurity Association(NCA)公式サイト
https://nca.org.vn/

KOL/KOC信用格付けに関する現地報道
https://vov.vn/xa-hoi/hiep-hoi-an-ninh-mang-quoc-gia-de-xuat-xep-hang-kol-koc-post1221705.vov