一般社団法人日本国際インフルエンサー協会(JIIA)は一般社団法人墨田区観光協会の協力のもと、同協会が運営する「コネクトすみだ まち処」、そして「-両国-江戸NOREN」内にある「両国観光案内所」を視察した。今回の視察は、地域観光の導線設計や魅力発信の仕組みを学ぶことを目的としたもので、地域の産品や文化を“いかに来訪者の視界に届けるか”という観点に特に注目して巡った。
どの施設も、単なる土産物の陳列ではなく、ストーリーを纏った“見せ方の技術”が随所に凝らされていた。商品一つひとつが背景を語るように配置され、その背後には職人の技や町の息づかいが静かに流れている。来訪者の視線の動きに合わせ、ポップや陳列が常に再考されている点にも強い印象を受けた。観光客のニーズや反応を的確に捉えながら、日々展示を最適化していく姿勢は、地域の魅力を“気づき”へと変換する大きな力になっている。
一方、両国エリアの視察では、江戸NOREN内の案内所に掲示されていた「館内ガイド一時中止について」という貼紙や看板が目に留まった。趣旨を伺ったところ、いわゆる外国人フリーランスガイドが大勢の観光客を伴って来館し、館内の土俵を見学させたのち、商店前に長時間滞留させ、消費行動を伴わずにそのまま退館するケースが繰り返し発生しているという。商業施設としては、来訪者が消費を伴わず動線を塞ぐ状況は避け難く、運営上の課題となっていた。
地域の文化拠点が持続的に機能し続けるためには、来訪者の振る舞いと地域側の運営方針の適切なバランスが欠かせない。今回の事例は、観光産業の裏側にある“受け入れる側の苦悩”と“情報の伝わり方の影響力”を端的に示している。JIIAとしても、正確で適切な情報発信を行い、地域・事業者・来訪者が互いに尊重し合える環境づくりに寄与していく重要性を改めて認識する機会となった。





